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標記の件について。
今月4月29日(日曜日)の日程について、お稽古あり、となっておりましたが、訂正の上、お稽古なしとさせていただきます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。

一眼二足三胆四力

2018年04月10日
一眼二足三胆四力

いちがん、にそく(あし)、さんたん、よん(し)りきと読みます。
剣道を習得する上で必須の心得、と言ってもよいでしょう。

傍目に見ていると、剣道は大きな声で気合をかけ、勢いよく相手を打ち込んだり、ぶつかっていったりと、どうしても、そのパワフルな、スピード感のある外観にばかり目がいってしまいますね。しかし、実際のところ、剣道は、人並み外れたパワーやスピードは必ずしも重要な要素ではありません。
それを諭し、戒めた言葉が標題の「一眼二足三胆四力」と言えるのではないでしょうか。
まず一番目は「眼」即ち「目付」(めつけ)。これは、今、目の前にいる相手、そして相手の動きをみる「観」の目であり「感」の目でもあります。
二番目は「足」。いかに素早く、いかに滑らかに相手に接近し、あるいは接近させ、縦横無尽の動きのなかで、自分の打突に好適な間合いをものにし、正確な打突につなげていくか。これも剣道においてはとても重要な要素。
三番目は「胆力」。どれだけ腹が据わっているか。いつもと変わらぬ「かたよらない」「こだわらない」「とらわれない」心。「平常心」を維持できるか。
そして最後、四番目が「力」。つまり「力」は剣道において必ずしも最上位の要素とはいえません。それゆえ、ある程度上達し実力が伴えば、男女の別なく互角に勝負ができる。凄いことに、血気盛んな若者が七十台、八十台のおじいちゃん剣士に触ることすらできない。そのようなことが実際に起こり得るのです。

連合会の夏合宿は、今でも警視庁の先生方をはじめ数多くの高段者の先生方がお見えになります。ずいぶん昔のお話になりますが、そのなかでも、とりわけN範士(当時70代)は全国的にも名の通った名剣士で、当時、この合宿には何年も続けてお見えいただき主任講師の労をおとりいただいておりました。
ひととおり稽古が終わり、まだ少しだけ時間が残っていた。この時、若手の講師、この方も全日本剣道選手権の常連の名剣士、がN先生にお稽古をお願いしました。
静まり返る道場内。100名を超える剣士たちが見守る中、二人の立ち合いがはじまります。かたや血気盛んな現役の名剣士。かたや70代の老剣士。目には見えない気迫と気迫のぶつかり合いが展開されます。空気を切り裂くような気合が発せられます。機を見て若手の剣士がググッと間合いを詰め、美しい姿勢から伸びのある面を放ちます。ところがどうしたことか、これが空を切る。このような展開が一合、二合。そしてこれからあともしばらくは同じような展開、と思いきや、逆に老剣士の厳しい剣尖の攻めに若手の剣士は徐々に壁際まで追い込まれ、最後は、老剣士にスト~ンと、正に絵に描いたような面を決められて、おしまい。
老先生はその後、最高位九段まで上り詰められました。一方、若手剣士は、その年11月の全日本剣道選手権においてみごと優勝、というのは後日談。
これこそが剣道の真髄。即ち、周りで見ている人々からは理解することが困難な内面の深さ。生身の人間同士が剣(竹刀)という媒介をはさみ直接対峙するからこそ実現可能な性別や年齢を超えた、しかも力にのみ頼ることのない世界がここにはあります。

 試合は、各々が平素の稽古の積み重ねを踏まえ、自分がどこまで上達できたか、それを計ることのできる正に絶好の機会であるといえます。

 平素のお稽古で先生方から頂いた教えの要点をきちんと守り、それを実現できたならまずは合格。勝敗はあくまで結果。後からついてくるものです。いずれかが勝者になれば他方は敗者となるものです。
                                           
 それぞれが異なった環境で、異なった指導者から、それぞれの個性や体力などに応じて異なった指導を受けている。剣道の上達レベルや、試合での強さ弱さはそれぞれ異なっているのが当たり前ですね。では試合で常に上位に食い込む人はいったい何が違うのでしょうか? 
                                         
 ひとつめは、もっと上手になりたい。もっと強くなりたい。もっと良い剣道をできるようになりたい。常にこうした強い思いを人知れず胸に秘め、そのための工夫をしているということ。そしてふたつめとして、それを実現するための努力をたゆむことなく続けているということです。稽古の時はもちろん、普段の生活、学習態度や寝食に至るまで、様々な工夫と努力を常にコツコツと積み重ねているものです。

 そしてそれらはやがて剣道のみならず、その人自身の人格や所作、振る舞い、さらにはその生き様にさえもにじみ出てくるものです。私は剣道を修業することの本来の目的としては、むしろこちらの方がより重要であると考えています。このような観点に立って考えると試合での勝ち負けは相手に対する勝敗というよりも、むしろ剣道を修行する自分自身との勝負であると言えるのではないでしょうか。

 己の心身の鍛錬こそ武道の目指すところ。                                                     いずれ、より高い目標、より強い意欲をもって普段の稽古に臨みたいものです。                                                   
                  

                               (平成25年12月20日 養心会たより)

【4月の行事】
■4月15日(日)
●第67回板橋区内剣道大会・第40回板橋区剣道選手権大会
会場:板橋区立東板橋体育館
集合場所:東上線成増駅改札前
集合時間:7:50
持ち物:防具一式、昼食、電車賃
※ご参照:板橋区剣道連盟

●第73回国民体育大会剣道競技選手選考会
会場:東京武道館(足立区綾瀬3-20-1)
主催:東京都、公益財団法人東京都体育協会
主管:東京都剣道連盟
開館:10:00



【5月以降の行事】
■5月20日(日)
●板橋区剣道連盟 前期剣道三段以下審査会・一級審査会
※詳細は別途ご連絡いたします。
 
■5月27日(日)
●剣道体験会
時間:9:00~11:00
※対象者:誰でもご参加いただけます。
 持ち物:動きやすい服装、飲料水、汗拭き用タオル
 申込み:本ホームページからメールにて。
※お問い合わせフォーム:お問合せ
    
※体験内容:正座、黙想、竹刀で素振り等

●平成30年度養心会総会
場所:まなぽーと
時間:午後(未定)
※詳細は追ってご連絡いたしますので、予定に入れておいて
ください。